日本の民家は、木造で地震には壊れやすい欠点を持
日本の民家は、木造で地震には壊れやすい欠点を持つ。しかし同時に通風の良いその設計は、高温多湿となる日本の夏に適してもいる。西洋の家に対して、このような日本の家の欠点と長所はともに、自然に対して比較的無防備であり、すすんで自然を受け入れて生きようとする日本の文化をよく現している。日本の文化はいわば、自然に向かって開け放たれている。このような感覚の基礎にあるのは、自然は基本的にはよいものであり、人間と自然とは調和して生きていくべきものだという考え方である。日本人は「お山」?お水?「お月様」などと自然の事物にも敬称をつけることが少なくないが、それは日本人に独得なものだといわれる。それは日本文化の古層に、山川草木にもそれぞれの神々がやどっているという汎神論的な感覚があるからである。このような感覚はまた文化のそれぞれの分野において、外部の自然の景観そのものを庭園の設計の中におりこむ借景技法、草花の自然の形をそのまま生かすことを考える生け花の技法、あるいは素材の自然の味を生かして引き立てることをよしとする日本料理の考え方などにも現れている。
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