日露戦争前後、島崎藤村や田山花袋などの自然主義
日露戦争前後、島崎藤村や田山花袋などの自然主義を唱える作家が台頭し、藤村の『破戒』、花袋の『蒲団』などが代表的役割を果たした。自然主義はその後も近代文学の最も大きな運動として、広く影響を及ぼしていく。島崎藤村は、『夜明け前』で「家」と「個」にはさまれた主人公の苦悩を、『破戒』では部落差別を通して主人公の自我の目覚めを描き出した。これらには、個人の内面や現実の社会の困難がありのままに描写されている。しかし、人間の姿を赤裸々に描く自然主義は、その否定的な面のみを強調する傾向に陥り、そこから反自然主義の傾向が生まれた。
换一下